最近は採用の文脈で、企業の情報発信がとても多くなっています。
Wantedlyやnoteを活用した情報発信もあれば、オウンドメディアを立ち上げている企業もあります。このような流れから「自社もオウンドメディアを立ち上げるべきだろうか?」と迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、採用オウンドメディアを立ち上げるべきか?についてまとめています。
オウンドメディアとは?
まずはオウンドメディアとは、自社が保有するメディアのことを指します。
コーポレートサイト、採用サイト、製品カタログ、会社概要資料…など、ブログ以外のメディアも含めて「オウンドメディア」と呼ぶのが本来の広義の意味です。ですが採用の文脈では「自社が保有する採用ブログ」という意味でこの言葉が使われていることが多いです。
この記事での「採用オウンドメディア」とはこの狭義の意味合いで解説します。
採用オウンドメディアを立ち上げるか?の判断ポイント
1. 目的が明確であること
採用オウンドメディアの立ち上げでよくあるのが「他社がやっているから」という理由で始めてしまうこと。
どの手法にも言えることですが、全ての施策は課題や目的ありきです。課題がなければ施策を打つ必要もないですし、目的がないならやる理由がない。それなのに、流行りや競合他社に煽られてつい施策に走ってしまうことがよくあるのです。
ちなみに採用オウンドメディアというとメルカリさんのメルカンを思い浮かべる方も多いと思います。メルカンを立ち上げた松尾さんはその立ち上げの経緯について、次の通り話しています。
黙っていても取材されるような会社にどんどんなりつつあったんですよね。となったら、会社の情報が1つにまとまらなくなってくる。で、候補者の方だったりいろんな方に(情報が)「出たよ」って案内してもそれは全部アンコントローラブルなものなんですよね。メディアが消したら消えるし。というところで、その情報をある意味、社内的にも持っておきたい、コントロールできるようなものを持つべきだという思想からオウンドメディアみたいなことをやろうという話になりました。
メルカリはなぜ採用オウンドメディアを選んだのか? 編集長が語る「メルカン」立ち上げの経緯
このように、本来であれば課題や目的があった上でのひとつの手段として、採用オウンドメディアを検討すべきです。
2. ヒト・モノ・カネが揃っているか
目的があってオウンドメディアを立ち上げようとしても、大変なのはその運用です。メディア運用で大事なのはヒト・モノ・カネが揃っていることだと考えています。
ヒト
運用できるヒトがいること。メディアが頓挫する多くの原因はここにあります。
専任が望ましいですが、兼務でも、メディアに割くリソースが一定あることが絶対です。それから大事なのがそのヒトがメディアにかける熱い思いを持っていることと、それを周りが応援している状態。
特に、上司の方が担当者任せにして協力的でなく、担当者の方が孤独になる…というケースはよくあります。上司やその周りの方も含めてメディアの目的や目指したい方向性を理解し、協力することが理想です。
それから、できるだけ普段からSNSをよく使っているメンバーが社内に多い方がいいです。一般的な情報メディアでしたら長期的には検索からの流入も狙えたりしますが、採用オウンドメディアは基本的にはSNS経由の訪問が軸になるでしょう。記事を書いても流通しなければ意味がありません。担当者自身の発信力が一定あるのはもちろん、経営陣も含めて社内の人がシェアに協力してくれるかどうかも大事です。
モノ
ここで言うモノとは、ネタのことです。
発信したいネタがあること、または一見何もなさそうに見えても企業の魅力を引き出しネタにできることが重要です。これは「ヒト」にも繋がるところではありますが、「うちに発信できるネタなんてないよ」と思ってしまうと継続した情報発信が難しくなってしまいます。
カネ
メディアは構築から運用まで継続的に費用がかかります。またメディアの認知を高めるのには時間がかかるので、短期的なリターンはほぼ考えられません。長期的に投資ができる経済状況であることが必須です。
本当にオウンドメディアがベストな施策なのか?
オウンドメディアから直接の応募をいきなり増やすのは難しいです。
そもそも記事を流通させる難易度が高いため、認知を高めるのにまず時間がかかるのです。なので、人が足りなくて今すぐに採用が必要!という状態であれば求人媒体やエージェントを活用された方がよいでしょう。
逆にオウンドメディアが合うのは次のような企業です。
- 別のチャネルで人材獲得の経路が確立できている
- 打ち出したいコンセプトが明確で、ブランディングを強化したい
- ヒト・モノ・カネが揃っている
トリプルメディアを理解しよう
冒頭に挙げた通り自社の課題や目的次第で施策は変わってきます。オウンドメディアの立ち上げを目的化するのではなく、他の手法も理解した上で、組み合わせながら取り組むのが効果的でしょう。
最後に紹介するのは、「トリプルメディア」。これは「オウンドメディア」「アーンドメディア」「ペイドメディア」の3つのことを指します。
それぞれの違いを簡単に表すと次の通りです。
- オウンドメディア:自社が保有するメディア
- ペイドメディア:広告出稿をして掲載してもらうメディア
- アーンドメディア:ユーザーが投稿する形のメディア
今回は自社でメディアを立ち上げる場合(オウンドメディア)と、Wantedlyなどすでにあるプラットフォームに記事を出していく場合(アーンドメディア)でそれぞれメリットやデメリットを比較します。
オウンドメディアのメリット
- 打ち出したいコンセプトの通りに見せ方やデザインの調整ができる
- 情報を自社で管理、コントロールすることができる
- 自社の情報をストックしておくことができるので、「基本的にはそこを見れば企業のことが分かる」状態にすることができる
オウンドメディアのデメリット
- 構築までに時間と費用がかかる
- メディアの構築や運用について詳しい人がいないと大変
- サイトの保守運用が必要
- 認知を高めるのが難しい
アーンドメディアのメリット
- すぐに始められる
- そのプラットフォームにすでにユーザーがいるので拡散させやすい
- そのプラットフォーム上でユーザーからのコメントやリアクションが得られやすい
アーンドメディアのデメリット
- 記事一覧ページでの投稿の表示順などがコントロールができない
- そもそもそのサイトがなくなれば記事もなくなってしまう
- 複数のメディアに投稿している場合、自社記事の管理が面倒(どこにどの記事があるか分からなくなる)
うまく活用できれば、オウンドメディアは効果的な施策
このように、オウンドメディアの運用は難易度は低くはないですが、企業発信のコンテンツが増えている現在では他社との差別化がつけやすい施策であるとも言えます。
特徴を掴んでオウンドメディアをうまく活用しましょう!
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