選考フローなし!ベルフェイス西島さんの型にはまらない採用戦略とは

今回は、マーケティング思考を取り入れ実践しているHRパーソンに着目するため、ベルフェイス株式会社 人事責任者の西島 悠蔵さんにインタビューをしました。

西島さんは、HARESが運営するHRマーケティング入門ゼミの第1期生でもあります。彼のようにHR思考で人事をされている方の考え方とは?HRパーソンとして今後あるべき姿は?などをテーマにお話いただきました。

人事と経営は二人三脚。最も重要なのは経営陣との方向性をすり合わせること。

ーー まずは西島さんの現在の仕事内容を教えてください。

新卒採用と中途採用はまるっと僕が見ています。なのでそれに伴う採用広報や採用ブランディング施策を行ったり、教育研修も担当しています。

実務面だけでなく、企業ブランディングや対外的に発信するメッセージの設計もしていますね。

ーー かなり幅広いですね。人事に就いた当初、どんな施策から着手しましたか?

最初はとにかく経営陣に「とりあえず人が欲しい」と言われていたんですよね。なので、「どういう採用をしていきたいか」ということを経営陣にプレゼンするところから始めました。社長と役員の前で1時間半程、採用ターゲット、打ち出すメッセージ、手法について話をしました。

これがその時の資料です。

ーー うわぁ、すごいですね!ターケディングについても細かく書かれていて、当時の西島さんの熱量を感じます…。でも、なぜこんなことを?

僕は、人事って経営と二人三脚じゃないとうまくいかないと思っているんです。

だから採用の重要性を伝えたり、自分1人では採用できないから協力して欲しいってことを話したり、どんな人を採用していくのか整えていくことを、最初の段階で行ったんですよね。

このプレゼンは経営陣も最初は驚いていたようですが、最終的に「言いたいことはわかった。一旦信じて任せるからやってくれ」と言ってもらえた時は嬉しかったですね。

ーー そこからはどのような施策を打ち出していったんでしょう?

まずはオペレーション業務を削減していくことから始めました。例えば今は採用管理ツールで候補者の管理をしたり、オンライン派遣を導入して面談の日程調整を依頼しています。

このようにオペレーションを徐々に外に出し、クリエイティブな業務の割合を増やしていきました。

ーー なぜオペレーション業務を減らそうと思ったのでしょうか?

僕たち人事はもっとクリエイティブなところに時間を割くべきだと思うのです。

正直、日程調整をやっているだけで満足してしまっている人事の方ってたくさんいらっしゃると思うんです。この原因は、人事の評価が結局「人を採用できているか」だからなんですよね。たくさん日程調整をして面接をして、人を採用できているなら問題ないでしょ、と判断してしまう。

でもそうではなくて、企業ブランディングや組織作りなど、より「自分の頭を使う業務」の割合を増やして、人事としての価値を高めないといけないと思っています。これは今の人事の課題だなと思いますね。

SNS活用のコツ

ーー 西島さんはTwitterをすごく活用されていますよね!何か工夫されていることはありますか?

投稿時間と読みやすさですね。特に読んでほしい内容は、通勤中、昼休み、寝る前、と多くの人がSNSを見ていそうな時間に投稿するようにしています。それから箇条書きにしたりするなど、目に留まりやすく読みやすくなるよう意識しています。

ーー 他にはSNSを使った施策はありますか?

新入社員紹介の記事ですかね。実は、入社前にインタビューと写真撮影をして、入社と同時に公開するようにしているんです。

「転職しました!」というSNSの投稿をする人って多いじゃないですか?そのときに自分のインタビュー記事をシェアしてもらえるように仕掛けているんですよね。

ーー なるほど!たしかに転職したときに投稿する人、多いですよね。

そうなんですよ。あとは入社前に「なぜこの会社を選んだのか」などを自分の言葉で話すことで、自社の魅力がより明確に感じるんですよ。こうすることで社員自身も採用へのアンテナを張ってくれやすくなります。

もっとも大切なのは、打ち手を固めることではなく、相手にあったアプローチ方法を見いだすこと

ーー 人事として必要なことって、どんなことだと思いますか?

どうしても打ち手に走りたくなる人事って多いと思うんですよね。
周りの人事からよく「いろんな媒体に露出しているけど、どうして応募がないんですかね?」という相談を受けることもあるのですが、「そもそもその打ち手って正しいんですか?」と思うことが多いです。

例えば、ある新卒の内定者に50ページに渡る資料を作りクロージングを仕掛けたことがありました*。でも僕は全員に対してこれをしているわけではないですし、人事全員がこれをすべきとは思いません。

この相手はどうやって意思決定をするのか?何を求めているか?を考えて、それに合わせて戦略を打っていかないといけないんですよね。

*日本ハムが、メジャーリーグ行きを迷っていた大谷選手を口説くために作った資料を参考にして作成したそうです。西島さんはこれを「大谷クロージング」と呼んでいます(笑)。
参考記事:

ーー ユーザーニーズやユーザー体験を考えるマーケティングの思考ともぴったり当てはまりますね。では、相手のことをきちんと考えて、さらに見抜く能力はどうやって身につければいいのでしょうか?

僕も一発で見抜けることって中々ないので、やっぱり時間をかけることだと思います。

僕は面接フローはそんなに決めていないので、必要であれば何回も面談をします。「大谷クロージング」の子なんて、彼氏含めて3者面談もしましたからね。

ーー え!彼氏ですか?

面談で色々と話をしていたら、その子の彼氏が経営者だったんですよね。となると意思決定にも関わってくるかなと思って(笑)。「だったら彼氏も」とオファーして3人で話しました。

ーー そんな人事の方いるんですね(笑)。

下心ではなく…。さすがにその時は緊張しましたけどね。でもこの会社の人事はちゃんと周囲の人も含めて向き合っているんだということを理解していただけたのかなと思います。彼氏さんもとても良い人でした。

ーー選考フローをあえて決めていないのには、何か理由があるんですか?

人によって状況は変わるからですね。去年は内定承諾の回答期限も区切りませんでした。内定が出てから2ヶ月後に返事が来るとかもありましたし。

でもグリップって何回も会えばできてくるんですよ。何度も話しているうちに「今度リクルートの面接を受けるので対策を教えてください!」なんていう相談を受けたこともありましたし(笑)。

こうやって、最終的な軸足をベルフェイスに置いてくれる状態を作ってもらうことが大切だと思っています。

「経営視点」と「人の気持ち」のバランスを取る

ーー では最後に、西島さんにとっての「人事」とはなにか、教えてください。

僕は、経営と人の「バランサー」をイメージしています。冒頭に話した通り、人事は経営陣と協力して経営視点を持つことも必要です。でもそれに寄りすぎると「人」に寄り添えなくなってしまう。なので「経営」と「人」の間を柔軟にピボットできるのが人事であり、仕事の面白さのひとつかなと僕は思います。

ーー ありがとうございました!
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